吸引が必要になると、生活はどう変わるのか
医療的ケアの一つに「喀痰吸引」があります。
痰をうまく出すことが難しい方の気道にたまった痰を、
専用の器具を使って取り除くケアです。
病院では日常的に行われている処置ですが、
在宅で生活する方にとっては、生活の形が変わるきっかけになることがあります。
まず変わることが多いのは、外出です。
それまで当たり前だった外出でも、
「もし外で痰が詰まったらどうしよう」という不安が生まれます。
吸引がすぐにできる環境でなければ、
安心して外に出ることが難しくなる場合があります。
そのため、
・外出の時間を短くする
・行き先を限られた場所にする
・体調が安定している日だけ出かける
といった形で、少しずつ行動範囲を調整しながら生活することになります。
そして変わるのは、ご本人だけではありません。
家族の生活にも変化が生まれます。
・痰が増えていないか
・呼吸が苦しそうではないか
・夜中に咳き込んでいないか
それまで気にしていなかった小さな変化にも、
自然と気を配るようになります。
「今日は落ち着いているかな」
そんな確認が、日常の一部になっていくこともあります。
医療的ケアが必要になると、
生活の選択肢が少しずつ狭くなってしまうことがあります。
ですが、支援体制が整うことで、
その生活はまた変わっていきます。
喀痰吸引ができる支援者がいることで、
安心して外に出られる場面が生まれます。
・買い物に行くこと
・散歩に出かけること
・人に会いに行くこと
それまで難しく感じていたことが、
少しずつ、またできるようになることがあります。
喀痰吸引は、特別な医療行為のように思われることがあります。
しかし本来は、
生活を続けていくための支援の一つでもあります。
住み慣れた地域で、
安心して日常を過ごしていくために。
その環境を整えていくことも、
私たち訪問介護の大切な役割の一つだと考えています。
